「バックアップは取っているはず」「制作会社がやってくれていると思う」。そう考えていても、実際に確認したことがある事業者の方は、多くありません。
バックアップは、トラブルが起きた後に初めて「あるかどうか」「戻せるかどうか」が問われます。この記事では、WordPressなどの専門的な設定には踏み込まず、事業者ご自身が「今、取れているのか」を確認するための考え方と手順をまとめます。WordPressの具体的な取り方は、別の記事で解説しています。
ホームページのバックアップとは
ホームページのバックアップとは、サイトの内容を別の場所にコピーして保存しておくことです。サーバーの障害、更新時の失敗、誤って消してしまった場合、不正アクセスによる改ざんなどが起きた時に、元の状態に戻すために使います。
保存の対象は、サイトの作り方によって少し異なります。
- WordPressなどのCMSで作ったサイト:「ファイル」と「データベース」の両方が必要です
- CMSを使わない(HTMLなどで作った)サイト:サイトのファイル一式が対象です
どちらの場合でも、「どこかに保存されている」だけでは足りず、「戻せる形で保存されている」ことが大切です。
確認すべき3つの質問
自社のバックアップの状態は、次の3つの質問に答えられるかどうかで確認できます。
質問1:誰が、バックアップを取っているか
意外と多いのが、「誰も取っていない」ケースです。
- 制作会社が保守として取っている
- サーバー会社の自動バックアップ機能に任せている
- 自社の担当者が定期的に取っている
- 誰も取っていない、または誰が取っているのか分からない
制作会社に任せていると思っていても、契約内容に含まれていないことがあります。契約書や見積書を見て、バックアップが含まれているかを確認してください。保守契約でどこまで対応してもらえるのかは、「保守契約」とは?ホームページの保守で何をしてもらえるのかで整理しています。
質問2:どこに、どのくらいの期間、保存されているか
バックアップの保存場所と期間は、次の3点を確認します。
- 保存場所:サーバーの中だけか、別の場所にも保存されているか
- 保存期間(世代数):何日分、何回分まで遡れるか
- 最後に取れた日時:直近のバックアップがいつのものか
サーバー会社の自動バックアップは便利ですが、保存される期間が数日から2週間程度に限られることがあります。また、サーバーと同じ場所に保存されている場合、サーバー自体に大きな障害が起きた時に、バックアップも使えなくなる可能性があります。具体的な内容は、契約しているサーバー会社とプランによって異なります。
質問3:実際に、戻すことができるか
最も確認されていないのが、この3つ目です。
- 戻す手順を、誰かが知っているか
- 戻す作業は、自分でできるのか、サーバー会社や制作会社に依頼するのか
- 依頼する場合、費用や、対応にかかる時間はどのくらいか
自動バックアップがあっても、復元は有料のオプションであったり、申し込みから数日かかったりする場合があります。いざという時に困らないよう、平時に確認しておきます。
確認の進め方
3つの質問の答えは、次の順番で調べると分かりやすくなります。
1. サーバーの管理画面を確認する
サーバー会社の管理画面には、「バックアップ」や「自動バックアップ」といった項目があることが多いです。ここで、機能の有無、保存期間、復元の方法を確認します。契約しているプランによって、機能が異なる場合があります。
管理画面にログインできない場合は、先にその復旧が必要です。契約情報の確認から始める場合は、契約者が分からないドメイン・サーバーを整理する方法も参考になります。
2. 制作会社や保守の担当者に聞く
制作会社や保守を担当している会社がある場合は、次のように質問してみます。
- バックアップを取っていますか。取っている場合、頻度と保存場所は?
- 何日分(何回分)まで遡れますか?
- 復元が必要になった時の流れと、費用や時間の目安は?
- バックアップのデータは、自社でも受け取れますか?
回答があいまいな場合は、書面やメールで回答をもらっておくと、後から確認できます。
3. 自社に保存されているか確認する
制作会社や、サーバー会社に任せている場合でも、サイトのデータが自社の手元にもあるかを確認します。制作会社との連絡が取れなくなった時でも、自社でデータを持っていれば、別の会社に引き継げます。連絡が取れなくなった場合の備えは、制作者と連絡が取れなくなったWebサイトを引き継ぐ手順もご覧ください。
バックアップの考え方:「3つ・2種類・1か所」
バックアップの定番の考え方に「3-2-1ルール」があります。専門的な運用にまで取り入れる必要はありませんが、次のような目安として覚えておくと便利です。
- 3つ:元のデータに加えて、コピーを2つ持つ
- 2種類:異なる種類の保存先に分ける(例:サーバーとクラウドストレージ)
- 1か所:1つは、サーバーとは離れた場所に置く
事業者として現実的なのは、「サーバーのバックアップ機能」と「自社が管理できる別の保存先」の2段構えにすることです。
更新や変更の前には、必ず取る
定期的なバックアップとは別に、サイトに大きな変更を加える前には、その都度バックアップを取っておきます。
- WordPressやプラグインを更新する前
- デザインや機能を変更する前
- サーバーを移転する前
更新時の手順は、WordPress本体・プラグインを安全に更新する手順で解説しています。
WordPressの場合の次のステップ
WordPressで運営している場合は、具体的な取り方と戻し方を、次の記事で確認できます。
- 取り方:WordPressのバックアップを定期的に取る方法
- 戻し方:WordPressのバックアップから復元する方法
- 保守全体の考え方:WordPressを安全に保つ基本|更新・バックアップ・権限の3つを定期的に見直す
よくある質問
Q. サーバー会社が自動でバックアップを取っているなら、これだけで十分ですか?
A. 十分とは言い切れません。保存期間が短い、サーバー内にしか保存されない、復元に費用や日数がかかるといった場合があります。自社が管理できる別の保存先にも、定期的にコピーを持つことをおすすめします。
Q. バックアップは、どのくらいの頻度で取ればよいですか?
A. サイトの更新頻度によります。お知らせやブログを頻繁に更新するなら週に1回以上、ほとんど更新しないなら月に1回程度と、「失ったら困る範囲」を基準に決めます。
Q. 制作会社と連絡が取れません。バックアップは受け取れますか?
A. サーバーの管理画面にログインできれば、サーバーのバックアップ機能や、ファイルのダウンロードで保存できる場合があります。ログインできない場合は、まず契約情報の確認から進める必要があります。
Q. バックアップから戻したら、最新の内容が消えませんか?
A. バックアップは、取った時点の状態に戻す仕組みです。その後に追加した内容は、戻すと失われます。このため、頻度が大切になります。
まとめ
- バックアップは、取っていることより「戻せる状態」であることが大切
- 「誰が」「どこに・どのくらい」「戻せるか」の3つの質問で確認する
- サーバーの管理画面と、制作会社や保守の担当者の両方に確認する
- サーバーのバックアップに加えて、別の保存先にも持つと安心
- 大きな変更の前には、都度バックアップを取る
「バックアップが取れているのか確認したい」「戻せるのか不安」という場合は、Web GearのWebザイルでもご相談を承っています。すでにサイトが壊れてしまった場合は、Webレスキューをご覧ください。