「送ったはずのメールが、相手に届いていないと言われた」「エラーメールが戻ってきたが、意味が分からない」。独自ドメインのメールを使う事業者の方からよくいただくご相談です。
原因はさまざまですが、自社ドメインの「SPF」という設定が不足・誤りになっていることが、見落とされがちな原因のひとつです。この記事では、相手に届かないときにSPFをどう確認し、どう直すかを、専門知識がなくても追えるように整理します。メール全般の切り分けはメールが届かない・来ない原因と確認方法が入口になります。この記事では「送信側から相手に届かない」場面とSPFに焦点を絞ります。
SPFとは「このドメインから送ってよいサーバーの名簿」
SPF(Sender Policy Framework)とは、自社ドメインのメールを送ってよいサーバーの一覧を、DNSに登録しておく仕組みです。DNSの中の「TXTレコード」という種類で書きます(TXTレコードとは?)。
受信側のメールサーバーは、届いたメールの送信元を見て、「このメールは、名簿に載っているサーバーから送られたものか」を確認します。名簿に載っていないサーバーから送られていれば、なりすましの疑いがあるとして、迷惑メールに入れたり、受信を拒否したりします。
つまりSPFは、自社になりすましたメールを防ぐための仕組みであると同時に、自社の正しいメールを相手に届けるための身分証明でもあります。
「届かない」と一口に言っても、3つの状態がある
| 状態 | 見え方 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 拒否された | 送信直後や数分後にエラーメールが戻ってくる | 認証の失敗・相手側の制限など |
| 迷惑メールに入った | 相手が「届いていない」と思っている | 認証不足・本文や送信履歴の影響 |
| 途中で消えた | エラーも返事もない | 受信側の設定・容量・宛先違いなど |
迷惑メールに入るケースは送ったメールが迷惑メール判定される時の対策も参考になります。ここでは、SPFが関係しやすい「拒否された」「迷惑メールに入った」を中心に説明します。
手順1:エラーメールの文面を読む
エラーメール(バウンスメール)が戻ってきている場合は、本文に原因のヒントが書かれています。英語で書かれていても、次のような言葉が見つかれば、認証の問題の可能性があります。
SPF/authentication/not authenticated550や5.7.xから始まる番号rejected/blocked/policy
宛先が存在しない(user unknown など)や、相手の容量超過(mailbox full)といった内容であれば、SPFとは別の原因です。エラーメールの原文は、そのままコピーして保管しておくと、相談するときにも役立ちます。
手順2:自社のSPFレコードを確認する
自社ドメインのSPFを確認するには、DNSの設定画面か、無料のSPF確認サイトを使います。確認サイトに example.com のように自社のドメインを入力すると、登録内容が表示されます。
正しいSPFは、おおむね次のような形をしています。
v=spf1 include:(サーバー会社が案内する値) ~all
確認するポイントは次のとおりです。
- そもそも登録されているか:
v=spf1で始まるTXTレコードが見つからなければ未設定です。 - 1ドメインに1本だけか:SPFのレコードが2本以上あると、正しく判定されず、エラーになります。
- 送信に使っているサービスが全部入っているか:次の項目で説明します。
手順3:「送っているサービス」を洗い出す
SPFでよく起きるのは、サーバーのメール以外にも、自社名義でメールを送っているサービスがあるのに、名簿に載せ忘れているケースです。
- レンタルサーバーのメール
- Google Workspace・Microsoft 365
- お問い合わせフォームの自動返信
- メルマガ配信・予約システム・会計ソフトなどのサービス
あとから導入したサービスのメールが届かなくなるのは、この追加漏れが典型です。サービスごとに、SPFへ追加する値が案内されているため、それぞれの案内に従って既存のSPFに追記する形で整理します。
手順4:直すときの注意点
- 変更前の内容を必ず控える:誤った変更で、メールが止まるのを防ぐためです。
- レコードを増やさず、1本にまとめる:新しい行を追加するのではなく、既存の1本に値を足します。
- 記述の最後を確認する:
~all(疑わしいものは警告として扱う)は比較的ゆるやかな設定、-all(名簿外は拒否)は厳しい設定です。慣れないうちはゆるやかな設定から始めます。 - 反映には時間がかかる:DNSの変更が反映されるまで、数十分〜数時間かかることがあります。
SPFだけでなく、DKIMやDMARCも組み合わせると、なりすまし対策と到達率の両方が高まります。詳しくはなりすまし・フィッシング対策|DMARC設定の基本をご覧ください。Gmail宛のメールが届かなくなるガイドラインについてはGmailの送信者ガイドライン対応に整理しています。
自社で触るか、任せるか
DNSの設定を間違えると、メールだけでなくサイトの表示に影響する場合があります。次のような場合は、無理に自分で触らず、専門家やサーバー会社に相談する方法が安全です。
- どのレコードが何のものか分からない
- 変更後にメールが止まるのが心配
- 複数のサービスから送信していて、整理が難しい
よくある質問
Q. SPFを設定すれば、必ず相手に届きますか?
A. 必ずではありません。SPFは到達率を高める要素のひとつです。DKIMやDMARC、本文の内容、送信履歴なども判定に影響します。
Q. SPFのレコードが2本あると、どうなりますか?
A. 正しく判定されず、認証の失敗になることがあります。1本にまとめる必要があります。
Q. 自分のメールがSPFを通っているか、確認する方法はありますか?
A. 自分宛てに別のメールアドレスでテスト送信し、受信したメールの詳細表示(ヘッダー)で、SPFの結果が「PASS」になっているかを見る方法があります。
Q. 特定の相手にだけ届かない場合も、SPFが原因ですか?
A. その相手の側の受信制限や、宛先の入力ミスなど、別の原因のこともあります。エラーメールの内容で切り分けてください。
まとめ
- SPFは、自社ドメインのメールを送ってよいサーバーを登録する仕組み
- 届かない原因は、エラーメールの文面から切り分けられる
- 後から導入したサービスの追加漏れや、SPFの重複登録が典型的な原因
- 変更前に内容を控え、レコードは1本にまとめる
- 設定に不安があれば、無理せず相談する
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